2022.09.21 第6回衛生コラム エタノールの特徴について

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第6回 衛生コラム

テーマ:エタノールの特徴について

株式会社アルボース
生産開発本部 商品クリエイト部 衛生システム西日本開発課
河合 保
FSMS審査員補(JRCA登録No.F1197)

今回は感染対策用途に用いられる擦式手指消毒剤や食品添加物アルコール製剤の主な成分である
エタノール(一般的にはアルコールと呼ばれる)の特徴について解説いたします。

1.エタノールの性質及び特徴

エタノールの性質について表1に記述いたします。

表1 エタノールの性質

化学名  エタノールまたはエチルアルコール
通 称  アルコールまたは酒精等
化学式  C2H5OH 
分子量  46.07 
密 度  0.78943g/cm3 (25℃ )
沸 点  78.32 ℃
融 点  -114.5 ℃
引火点  13.0℃
発火点  439 ℃ 
消防法  危険物第4類 アルコール類(指定数量 400L)


参考:第9版アルコールハンドブック 社団法人アルコール協会

  • 無色透明で揮発する性質があります。
  • 水や他のアルコール及びその他の有機化合物とよく混和する性質があります。
  • よく燃える性質をもっており、使用及び保管の際には火気、その他着火源(静電気を含む)から隔離する必要があります。
2.エタノール濃度による効果について

 エタノールは手指消毒剤の成分として広く認知されており、概ね7083容量%の濃度であれば芽胞を除く多くの細菌、エンベロープを持つウイルス等に効果があることが知られています。また、現在、大きな社会問題になっている新型コロナウイルスに対しては、「厚生労働省事務連絡 令和2422日 新型コロナウイルス感染症の発生に伴う高濃度エタノール製品の使用について(改定(その2))」において、70容量%以上のエタノールが入手困難な場合には、手指消毒用として60容量%台のエタノールを使用しても差し支えないとされています。
 一方、エタノールはエンベロープを持たないノロウイルスなどに対しては十分な不活化効果を示さないとされていますが、国立医薬品食品研究所からの「平成27年度ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書」を受けて、大量調理施設衛生管理マニュアルの平成29年6月16日改正版では、ノロウイルス代替ウイルス(ネコカリシウイルス等)への不活化効果を確認したアルコール製剤については、ノロウイルスに対する不活化効果を期待できるものとされ、使用する場合、濃度・方法等、製品の指示を順守して使用することで、調理場内における器具・容器等のノロウイルス対策に用いることが認められました。


3.手指消毒剤及び食品添加物におけるエタノール濃度の表記について

 エタノールが配合された製品は、用途によりエタノール濃度の表記が異なります。例えば薬機法によって承認された手指消毒剤(医薬品及び医薬部外品)の場合、有効成分がエタノールであれば、エタノールの濃度は容量%で表示されます。
 
例)日本薬局方消毒エタノールでは76.981.4容量%となります。

 
一方、食品添加物である食品添加物アルコール製剤の場合、食品表示基準第32条第1項、食品表示基準第32条第2項により製品の表示方法が定められており、成分名は「アルコール」、配合量は「重量%」で記載しなければなりません。
 
なお、エタノールは水よりも比重が小さいので、同じエタノール濃度であっても容量%では見かけの数値が大きく、重量%では見かけの数値が小さくなります。 

 

図1 同じエタノール濃度でも用いる単位で数値は変化する

 

4.消防法との関係について

 エタノール等のアルコールが配合されている製品は、アルコールの含有量によって危険物または非危険物に区分されます。アルコールを60重量%以上※1含有する製品は、危険物第4類引火性液体アルコール類に該当し、消防法の適用を受け、指定数量400Lの規制を受けます。また、これらの製剤は、指定数量未満であっても各市町村の条例によって、指定数量の1/5以上(アルコール類では80L以上※2)を貯蔵または取り扱う場合、少量危険物取り扱いの届出を管轄の消防署に出す必要があります。
 
なお、エタノールを含有する製品は危険物または非危険物の区分に関わらず、航空便での輸送に制限※3があります。

1 アルコール濃度が60重量%未満であっても、内容成分により危険物となる場合があります。必ず、当該製品の区分を製造元に確認してください。
2 アルコール濃度が60重量%以上の製品は、仮に製品容量が17L缶入りであれば5缶以上の貯蔵で少量危険物の届出が必要となります。
※3 詳しくは運送会社にお尋ねください。