2023.01.25 第7回衛生コラム 医薬部外品、化粧品などに使用される原料の肌への影響について

アルちゃんが、様々な疑問を専門家の先生にお尋ねします!

第7回 衛生コラム

テーマ:医薬部外品、化粧品などに使用される原料の肌への影響について

武庫川女子大学薬学部 健康生命薬科学科 化粧品科学研究室 准教授  仁木 洋子 先生

今回は番外編としてアルボースとの共同研究をお願いしている武庫川女子大学薬学部の仁木 洋子 先生に質問するよ!

Q1 先生はどの様な研究をされているのでしょうか?また、アルボースと共同研究を行うことになった経緯を教えてください。

 皮膚の細胞や髪の毛を使用して、化粧品成分の良い効果を調べる研究をしています。例えば、地元企業と協力して、まだ工業的には活用されていない植物から得られた素材について、シミの元になるメラニン色素が作られることを防ぐ「美白効果」を調べたり、皮膚老化を防ぐ「アンチエイジング効果」を調べています。また、毛髪も老化します。ヘアケア化粧品の素材について、毛髪老化を防ぐ効果を様々な手法で検討しています。これらの成果は学生が学会などで発表をしています。同時にこれらの素材の皮膚への安全性に関する研究も行っています。
 私は2020年まで、アルボースのグループ企業である化学メーカーの研究開発部で化粧品原料の開発研究を行っていました。在職時からアルボースと情報交換などをしており、今は、そのご縁で共同研究を行わせていただいています。


Q2 ある物質が人の肌に対して影響が有るか無いかはどの様なことで分かるのでしょうか?

 まずは、ヒトの皮膚から得られた細胞を特殊な環境で培養して、そこに検討したい素材を加えて細胞の反応を見る基礎的な実験を行います。ときには100種類以上の素材から良い効果を持つ物質を探すスクリーニングといった作業を行う場合もあります。そして、効果の高い候補物質が見つかっても直ぐに製品開発に移れるわけではありません。化粧品原料は皮膚に塗って安全であることが最も大切なポイントです。そのため、安全性情報のデータ検索や培養細胞などを用いる様々な安全性試験を行います。安全性が確認された物質を製品に近い皮膚に使用できる製剤にして、さらに製剤についても安全性の検討を行います。これをクリアして初めてヒト試験の段階に進み、いよいよその効果を調べていきます。保湿効果であれば皮膚水分量を、美白効果であれば皮膚色を特殊な測定機器で評価して効果を確認します。


Q3 医薬部外品、化粧品などに使用される原料について、人の肌に対する影響の大小を確認するにはどの様な実験方法があるのでしょうか?

 皮膚への安全性を調べる場合には、科学的にその妥当性が検証された安全性試験法で行います。これには、OECD(経済協力開発機構)によるテストガイドライン(OECD TG)に則った試験などが当てはまります。例えば、人の肌に対する刺激性を調べる場合には、人皮膚に似た構造を持つ3次元皮膚モデルを使用するOECD TG439といいう試験を行い、刺激性の有無を確認します。安全性が確認できれば、次にヒトパッチ試験を行います。これは調べたい原料を塗ったヒト試験用テープを被験者の背中に24時間貼って、剥がした後、一定時間後に赤みや腫れといった皮膚反応の判定を行います。このような試験は皮膚科専門医の管理下で安全性に十分な留意を行いながら実施されています。


Q4 人の肌に対する影響を確認するには、以前は動物実験が行われていましたが、近年は動物を使用しない試験が主流になっていると聞きます。どのような試験が行われているのでしょうか? 

 以前は化学物質の安全性評価には、動物を用いる試験が行われてきました。しかしながら、近年では特に化粧品開発においては、動物愛護の観点から動物実験はほとんど行われていません。その替わりに、アルゴリズムによる計算化学、化学溶液系での検討、培養細胞や組織を用いる、いわゆる「動物実験代替法」による安全性試験が広く行われるようになっています。世界的に見ると開発段階で動物実験を行った化粧品の販売を禁止している国が沢山あり、今後も増えていくと予想されています。そのため、世界中で、そしてもちろん日本においても新しい動物実験代替法の開発研究が活発に行われています。私達の研究室においても、培養細胞や、3次元皮膚組織モデルなどを用いる方法で、化粧品原料の安全性や有効性を調べる研究を行っています。




アルボースでも肌に刺激が少ない製品の開発を進めているよ。皆さんに早く届けたいな!

仁木先生ありがとうございました。